新規事業・オープンイノベーション実態調査|Spready調べ

この記事は、ネクストイノベーションベース編集部の花田 海が書きました。

新規事業の企画は承認されました。それなのに、最初の顧客ヒアリングまで何カ月も動きません。オープンイノベーションの実態を知りたい担当者が直面するのは、成功率よりも、こうした途中工程の詰まりです。

開業率や資金調達額を見ても、法務確認に何日かかったのか、どの経路で社外の実務者へたどり着いたのかは分かりません。共創の座組みが解散する直前に何が起きていたかも、決算資料には残りにくい情報です。

Spreadyの新規事業・オープンイノベーション実態調査は、この「協業の前段」を事業開発の実務者に尋ねます。測るのは、企画から最初の顧客接点までの時間、外部接点を得た経路、中断した段階。ここでは調査対象、用語の定義、設問、集計軸を公開します。

新規事業・オープンイノベーション実態調査が測る3つの問い

この実態調査が測るのは、新規事業の最終的な売上や成否ではありません。企画が動き出し、外部と接点を持ち、検証へ進むまでの過程です。結果だけを聞くと消えてしまう実務上の詰まりを、次の3方向から捉えます。

企画から顧客接点まで、どこで時間を使ったか

起案から最初の顧客接点までの日数を、社内承認、法務確認、対象者のリストアップ、アポイント取得に分けて尋ねます。「数カ月かかった」という回答だけでは、短くする工程を決められないからです。

たとえば、承認は1週間で終わったのに、候補者探しで1カ月止まっていたなら、稟議の簡略化では解決しません。工程別の日数があれば、次に手を入れる場所を絞れます。

外部の一次情報へ、どの経路でたどり着いたか

既存取引先、社員の知人、業界団体、展示会、外部サービス、SNSでの直接連絡など、利用した経路を聞きます。そのうえで、回答者が「使える一次情報へ到達できた」と感じたかを経路ごとに比べます。

接点数だけでは足りません。10人に会えても、意思決定に必要な話が聞けなければ、担当者の予定だけが埋まります。経路と、必要な話を聞けたかどうかを組み合わせることで、数を増やすべきか、探し方を変えるべきかを判断できます。

案件が止まる直前、何が起きていたか

中断した案件について、止まった段階と、直前3カ月に起きた出来事を選択式で尋ねます。撤退の良し悪しを採点するためではありません。検証前に止まった案件と、検証結果を受けて止めた案件を同じ「失敗」にまとめないためです。

中断件数だけを見れば、早く見切った案件と、社内調整で動けなかった案件が混ざります。直前の出来事まで取ると、判断による撤退と、実行できずに止まった状態を分けて読めます。

新規事業・オープンイノベーション実態調査の対象と回収方法

回答対象は、直近3年以内に自社の新規事業または社外との協業案件へ実務として関わった人です。企画立案、検証、予算折衝、協業条件の交渉のいずれかを担当した人を含みます。意思決定を伝聞で知るだけの人は、冒頭のスクリーニングで除きます。

調査はインターネットで行い、企業規模と所属部門の2軸で回答者を分けます。部門は事業開発、経営企画、R&D、情報システム、その他。特定の規模や部門だけで回答が埋まらないよう、各区分に上限を設ける設計です。

有効回答の目標は300件以上です。全体平均を見るだけなら100件台でも分布は出せますが、企業規模と部門を掛け合わせると、区分ごとの回答数は急に薄くなります。「自社に近い会社ではどうか」まで読むために、最初からクロス集計を前提にしています。

回答者は、調査モニターとして登録した実務者です。結果を見る際は、有効回答数だけでなく、企業規模、部門、調査方法も一緒に確認してください。

新規事業・オープンイノベーション実態調査で使う3つの定義

同じ質問でも、「新規事業」に既存商品の改良を含める人と含めない人が混ざれば、結果は比較できません。この調査では、回答前に3つの言葉を次のように定義します。

新規事業

既存事業とは異なる顧客、提供価値、収益モデルのいずれかを持ち、独立した予算枠または承認手続きを経て進める取り組みです。既存商品の改良、既存顧客への追加提案、価格改定は含めません。

オープンイノベーション

他社、大学、研究機関、個人などの外部主体と、技術、情報、販路、人材のいずれかを持ち寄って進める事業開発です。決められた作業だけを外部へ発注する関係は含めません。

共創探索

協業体制を組む前に、社外の実務者から一次情報を得る活動です。契約前の情報交換を独立した段階として扱います。この区切りはこの調査に固有なので、別の調査と数値を並べる際は定義の違いを確認してください。

定義を先に示すと、回答者が普段使う社内用語より対象が狭くなる場合があります。そこで、解釈が分かれやすい設問には自由記述欄を設け、選択肢だけでは拾えない差を確認します。

新規事業・オープンイノベーション実態調査で聞くこと、聞かないこと

設問は、回答しやすいものから5つのまとまりに分けます。後半に答えにくい中断の質問を置き、途中離脱を抑える並びです。

  1. 回答者属性:企業規模、業種、部門、関わり方、直近3年の案件数
  2. 時間:起案から顧客接点まで、社内承認、外部との初回接触までの日数
  3. 外部接点:利用した経路、必要な一次情報を聞けたかどうか、必要だった社内手続き、断られた回数
  4. 中断:案件の有無、止まった段階、直前3カ月の出来事、再開の有無
  5. 自由記述:外部と組むうえで最も時間を取られた作業

日数や回数は、細かな実数ではなく区間で回答してもらいます。半年前の案件について「43日」と答えても、その精度は保証できません。幅を持たせた選択肢にすることで、記憶の誤差を吸収します。

一方、個社の売上、投資額、撤退損失は聞きません。回答者が把握していない、または社内規程上答えられない項目を入れると、無回答が増え、ほかの回答まで粗くなります。「成功したと思うか」という主観的な成否判定も設けません。

新規事業・オープンイノベーション実態調査の集計軸と読み方

第1回の結果を読む際は、全体の単純集計だけでなく、部門別、企業規模別、外部接点の経路別に見ます。たとえば、全体では知人経由が多くても、大企業の情報システム部門では外部サービスの比率が高い可能性があります。平均値だけでは、こうした違いが消えるからです。

集計の中心に置く指標は、次の3つです。

  • 起案から最初の顧客接点までの日数の中央値
  • 外部接点で最も利用された経路と、その利用率
  • 中断した案件のうち、検証前に止まった割合

現時点では、調査結果の数値を掲載していません。

中断に関する回答は、過去の記憶に依存します。直近の案件は詳しく、古い案件は粗く答えられる傾向が出るため、集計表では対象期間と回答者数を併記してください。アンケートの回答と、プラットフォーム上の行動データも別に扱います。

新規事業・オープンイノベーション実態調査が埋める3つの空白

NEDOとJOICによる『オープンイノベーション白書 第三版』は、日本企業の取り組みを整理した2020年の資料です。中小企業庁の『中小企業白書』は、開業、廃業、事業承継などを広く扱います。これらに対し、この調査が狙うのは、企画が動き出してから協業へ至るまでの実務です。

時間の空白

企画承認から最初の外部接点まで、どの作業に何日使ったのか。担当者が「しばらく止まった」と話す区間を、工程別の日数で捉えます。

経路の空白

外部の一次情報へ、知人、展示会、業界団体、外部サービスなどのどの経路で到達したのか。接点の数だけでなく、必要な情報を得られたかまで見ます。

中断時点の空白

案件が検証前に止まったのか、検証結果を踏まえて止めたのか。撤退件数だけでは見えない違いを、止まった段階と直前の出来事から分けます。

同じ設問を繰り返すと、単年の順位ではなく、各工程にかかる時間や接点のつくり方がどう変わったかを追えます。そのため、設問を変更した場合は、変更前後を同じ系列として比べないことが欠かせません。

新規事業・オープンイノベーション実態調査を引用するときのクレジット

調査結果を社内資料や記事で扱うときは、調査名だけでなく、調査時期と有効回答数を併記してください。数値の確からしさを読むために必要な情報です。

クレジットは、次の要素を含めます。

出典:Spready株式会社「新規事業・オープンイノベーション実態調査(第○回)」、調査時期、有効回答数

グラフを作り直す場合も、元の設問定義を残します。「共創探索」の定義を外して別調査と並べると、同じ言葉に見えても測定範囲がずれます。集計結果の利用可否や許諾条件は、転載する時点の公開ページで確認してください。

よくある質問

調査結果は自社の資料に転載できますか

転載する時点で公開ページの利用条件を確認してください。利用する場合は、調査名、調査時期、有効回答数、該当する設問の定義を併記します。数値だけを切り出すと、回答者の範囲や測定条件が読者に伝わりません。

過去回のデータと比較するときの注意点はありますか

設問文、選択肢、対象者の条件が同じ回どうしを比べてください。いずれかが変わった回は、数値の差に実態の変化と設計変更の影響が混ざります。変更点がある場合は、同じ折れ線に連結せず、注記を入れて読み分けます。

スタートアップや中小企業も調査対象ですか

企業規模で対象を限定せず、企業規模と部門で回答者を分ける設計です。実際の回答構成を読む際は、各規模の回答数を確認してください。対象に含まれていても、回答が少ない区分は単独で一般化できません。

まとめ

Spreadyの新規事業・オープンイノベーション実態調査は、成否ではなく、企画が動き始めてから外部と接点を持ち、中断または検証へ進むまでを測ります。

中心となるのは、企画から顧客接点までの時間、外部の一次情報へ至った経路、中断した段階の3点です。調査結果を見る際は、全体平均だけでなく、企業規模、部門、接点経路の区分まで確認してください。

数値を引用するときは、調査時期、有効回答数、用語定義を一緒に運びます。数字だけを抜き出さないこと。それが、この実態調査を自社の判断材料として使うための最低条件です。

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