新規事業・オープンイノベーション用語集|担当者が押さえる54語

この記事は、ネクストイノベーションベース編集部の花田 海が書きました。

「PoCは終わったのに、顧客がお金を払うかは分からない」「PMFを目指そうと言われたが、何を満たせば到達なのか誰も答えられない」。新規事業の会議がこうして止まるとき、原因は知識不足だけではありません。同じ用語を、企画担当と営業と開発と経営者が、別々の意味で使っているのです。

そのため、この用語集は、暗記のためではなく、チームの判断対象と次の行動を揃えるためにあります。新規事業・オープンイノベーションの用語54語を、構想、顧客理解、仮説検証、事業設計、成長、共創の6フェーズに整理しました。目的から探せる索引も用意しています。

個別案件では、目的や契約に合わせて定義を確認してください。

上から順に読む必要はありません。いま会議や資料で詰まっているフェーズから開き、前後の用語との差まで確認すると使いやすくなります。

  1. 新規事業の用語は6フェーズで読む
  2. 目的・カテゴリから用語を探す
  3. 構想をつくる用語
  4. 顧客を理解する用語
  5. 仮説を検証する用語
  6. 事業を成立させる用語
  7. 成長と継続判断に使う用語
  8. 社外との共創に使う用語
  9. 混同しやすい新規事業用語の違い
  10. まとめ
  11. 執筆・運営

新規事業の用語は6フェーズで読む

新規事業の用語は、構想、顧客理解、仮説検証、事業設計、成長、共創のどこで使う言葉かを先に決めると理解しやすくなります。用語の暗記より、「いま何を判断する言葉か」を揃えるほうが実務に効きます。

注意したいのは、6フェーズが一方向に進む工程ではないことです。顧客インタビューで課題仮説が崩れれば構想へ戻ります。PoCで技術を確認しても、支払意思が弱ければ顧客理解へ戻ります。行き来しながら不確実性を減らす、その現在地を示すのがフェーズです。

フェーズ別の見取り図は次の通りです。

  • 構想:どの課題に、どんな価値を届けるかを言葉にする
  • 顧客理解:誰が何に困り、なぜ既存の行動を続けているかを確かめる
  • 仮説検証:思い込みを観察可能な問いに変え、証拠を集める
  • 事業設計:価値提供と収益、提供体制をつなぐ
  • 成長:再現性、採算、拡張性、継続・撤退を判断する
  • 共創:社外の組織や人と、目的、役割、情報、成果の扱いを決める

用語が複数フェーズにまたがる場合は、会議の目的に合わせて意味を明示します。たとえばPoCを議題にするなら、「技術の成立性」「現場運用」「顧客の支払意思」のどれを確かめる回なのかを冒頭に置いてください。この一手間で、会議の後半のすれ違いが消えます。

目的・カテゴリから用語を探す

新規事業の用語を目的から探すときは、顧客理解、検証、事業性、指標、共創のカテゴリで絞ると、必要な定義へ早くたどり着けます。実務での利用場面を基準に整理した索引です。

目的・カテゴリ

主な用語

会議で揃える問い

企画・構想

新規事業、事業開発、事業仮説、コンセプト、価値提案

誰の何を、どの価値で変えるのか

顧客理解

顧客課題、ニーズ、ペルソナ、ジョブ、インサイト、顧客インタビュー

発言ではなく、どの行動事実を根拠にするのか

検証

仮説検証、受容性調査、プロトタイプ、MVP、PoC、CPF、PSF、PMF

今回は何を確かめ、何は確かめないのか

事業性

ビジネスモデル、収益モデル、GTM戦略、プライシング、CAC、LTV

顧客への価値提供と収益がどうつながるのか

指標・継続判断

KGI、KPI、ノーススターメトリック、ステージゲート、撤退基準

数値が動いたら、誰が何を判断するのか

共創

オープンイノベーション、事業共創、共創パートナー、CVC、オープン・クローズ戦略

各者の役割、意思決定、成果の扱いをどう決めるのか

この索引は、言葉を一つのカテゴリへ固定するものではありません。GTM戦略は事業設計だけでなく成長局面でも使いますし、知的財産は共創時の契約設計にも関わります。会議資料では「この案件ではどう使うか」を一文添えてください。

構想をつくる用語

構想フェーズの用語は、事業の対象、解く課題、提供価値を仮置きするために使います。完成案を固める段階ではなく、検証すべき前提を他者が読める形にする段階です。

企画書の一行目で使う言葉ほど、定義のずれが後工程に響きます。まずここから揃えましょう。

1. 新規事業

新規事業とは、新しい顧客、価値、収益の仕組みを組み合わせ、既存事業とは異なる事業成立を目指す取り組みです。新商品だけを指す言葉ではありません。顧客や提供方法、収益構造のどこが既存と異なるかを示して使います。

2. 既存事業

既存事業とは、顧客、提供物、業務手順、収益の流れがすでに稼働している事業です。新規事業との境界は組織図ではなく、顧客課題や提供方法について残る不確実性の大きさで見ます。

3. 事業開発

事業開発とは、顧客、商品・サービス、販売、提携、収益の仕組みを組み立て、事業として動かす活動です。企画書の作成だけでなく、顧客接点づくり、社内調整、提携交渉、検証運用まで含みます。

4. イノベーション

イノベーションとは、新しい発想や技術を、顧客や社会が利用する価値へ変えることを指します。発明の新しさだけでなく、誰の行動や選択がどう変わるかを見ます。(出典:OECD/Eurostat『Oslo Manual 2018』第4版)

5. 新規事業テーマ

新規事業テーマとは、探索する顧客、課題、技術、社会変化などの範囲を定めた検討単位です。領域名だけで終わらせず、対象者、困りごと、自社が持ち込める資産まで仮置きします。

6. 事業仮説

事業仮説とは、誰に、どんな価値を、どの方法で届け、対価を得るかについての暫定的な説明です。顧客、課題、解決策、提供方法、収益に分けて書いておくと、検証で崩れた箇所が特定できます。

7. アイディエーション

アイディエーションとは、課題や機会に対する選択肢を広げ、比較可能な案へ整理する活動です。発散の前に問いを置き、発散の後は検証可能性や自社との適合で絞り込みます。

8. コンセプト

コンセプトとは、対象顧客、課題、提供価値、利用場面を一つの提案としてまとめたものです。機能一覧ではなく、顧客が「自分向けか」「何が変わるか」を判断できる形で書きます。

9. 価値提案

価値提案とは、顧客が商品・サービスを選ぶ理由を、解消する不便、得られる結果、代替手段との差で示したものです。「高品質」で終わらせず、どの場面の負担を変えるかまで書き切ります。

顧客を理解する用語

顧客理解の用語は、企業が語りたい価値ではなく、顧客の行動、選択理由、困りごとを捉えるために使います。発言の収集で終わらせず、実際の行動と代替手段まで確認します。

「お客様の声は集めたのに、何を作るべきか決まらない」という状態は、たいてい発言と行動の区別がついていないときに起きます。切り分けの道具がこのフェーズの用語です。

10. 顧客課題

顧客課題とは、顧客が目的を果たす際に直面する不便、損失、制約、未充足の要求です。誰が、いつ、何をしようとして、どんな対処をしているのか。観察できる形に書き直して使います。

11. ニーズ

ニーズとは、顧客が満たしたい要求や、達成したい状態を指します。「この機能がほしい」という要望の奥にある、時間短縮や失敗回避といった目的まで確かめます。

12. シーズ

シーズとは、事業の起点になり得る技術、知識、特許、設備、顧客接点などの資源です。シーズの存在と顧客ニーズは別物なので、誰のどの課題へ接続するかを検証します。

13. ペルソナ

ペルソナとは、想定顧客の状況、行動、判断基準を具体化した仮説上の人物像です。名前や趣味を埋める作業ではなく、購買や利用に影響する条件を整理するために作ります。

14. ジョブ

ジョブとは、顧客がある状況で片づけたい用事や、達成したい進歩を捉える見方です。「何を買うか」より「何を済ませたいか」と問い、既存手段を選び続けている理由を見ます。

15. インサイト

インサイトとは、顧客が明確に説明していない行動の理由や認識を、複数の事実から解釈したものです。印象的な発言一つで決めず、行動、発言、状況と解釈の筋道を残します。

16. カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは、顧客が課題を認識し、比較、利用、継続や離脱を判断するまでの体験を時系列で捉えたものです。接点ごとの行動、疑問、離脱理由を調査項目へ変換して使います。

17. デスクリサーチ

デスクリサーチとは、公開資料、既存調査、社内資料など、すでに存在する情報を整理する調査です。市場構造や既知の論点の把握に向きますが、顧客固有の判断理由は一次調査で確かめます。

18. 顧客インタビュー

顧客インタビューとは、対象者の経験、行動、判断理由を対話で確かめる調査です。アイデアの感想だけでなく、過去の場面、既存の対処、支払いや社内承認の実態を聞きます。

仮説を検証する用語

仮説検証の用語は、事業案が正しいと証明するためではなく、不確かな前提を早く見つけて更新するために使います。技術、顧客、利用、支払いを一つの検証で混ぜないことが肝心です。

「PoCは成功したのに事業にならない」という嘆きの多くは、確かめる対象を混ぜたまま走った結果です。ここの用語は、混ぜないための仕切りとして働きます。

19. 仮説検証

仮説検証とは、事業の成否を左右する前提を明文化し、観察や実験の証拠で維持、修正、棄却を判断する活動です。実施の前に、何が分かれば次へ進むかを決めておきます。

20. 受容性調査

受容性調査とは、顧客がコンセプトをどう理解し、必要性、利用意向、懸念をどう捉えるかを確認する調査です。好意的な感想だけでなく、既存手段との比較や利用を阻む条件まで聞きます。

21. プロトタイプ

プロトタイプとは、顧客体験、操作、提供手順など、確かめたい部分を表現した試作品です。紙の画面や手作業でも、顧客の反応や利用上の問題を観察できれば役目を果たします。

22. MVP

MVPとは、顧客へ価値を届け、学習に必要な反応を得るための最小限の製品・サービスです。誰のどの課題を検証するかを決め、その問いに不要な開発を外します。(出典:Eric Ries『The Lean Startup』2011年)

23. PoC

PoCとは、技術、運用、データ連携などの実現可能性を限定条件で確かめる検証です。顧客受容性や採算性とは分けて判定します。

24. 実証実験

実証実験とは、実際の利用環境に近い条件で、技術やサービスの有効性、運用上の問題、関係者の受容を確かめる取り組みです。現場の人や手順を含めて設計し、成果の公開範囲も先に決めます。

25. PSF

PSFはProblem-Solution Fitの略で、顧客の課題と解決の方向が噛み合っている状態を指します。製品の完成ではなく、課題が実在し、対象顧客が提案した方向に反応するかを見ます。

26. CPF

CPFはCustomer-Problem Fitの略で、対象顧客と、その顧客が抱える課題の組み合わせが妥当な状態を指します。誰の課題かが曖昧なまま解決策を磨いていないか、を点検する言葉です。

27. PMF

PMFはProduct-Market Fitの略で、製品・サービスが特定の市場で必要とされ、利用や購買が繰り返される状態を指します。単発の導入だけで判定せず、継続利用や顧客獲得の再現性を見ます。(出典:Marc Andreessen「The only thing that matters」2007年)

事業を成立させる用語

事業設計の用語は、顧客へ価値を届ける仕組みと、対価を受け取って提供を続ける仕組みを接続するために使います。売上だけでなく、販売、提供、費用、協力者まで一続きで見ます。

検証で手応えが出た次の会議では、「それで、儲かるのか」という問いが必ず飛んできます。答えるための語彙がここに並びます。

28. ビジネスモデル

ビジネスモデルとは、誰に何を提供し、どう届け、どこから収益を得て、何に費用がかかるかをまとめた仕組みです。顧客、価値、販売、提供体制、収益、費用のつながりを一枚で見ます。

29. 収益モデル

収益モデルとは、誰から、何の対価として、どの単位と頻度で売上を得るかを定めたものです。顧客が価値を得る時点と課金の時点が合っているかを確認します。

30. GTM戦略

GTMはGo-to-Marketの略で、特定の顧客へ商品・サービスを届け、選ばれ、導入されるまでの方針を指します。対象市場、訴求、販売経路、価格、営業、導入支援をつなげて設計します。

31. プライシング

プライシングとは、顧客が受け取る価値、代替手段、販売方法、提供費用を踏まえて価格と課金条件を決める活動です。価格提示への反応も仮説検証の対象にします。

32. ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクスとは、顧客一社、一人、一契約などの単位で、収益と獲得・提供費用の関係を見る考え方です。売上が伸びても一単位ごとの損失が増える構造なら、先に構造を見直します。(出典:David Skok「SaaS Metrics 2.0」)

33. CAC

CACはCustomer Acquisition Costの略で、新規顧客一件の獲得にかかった費用を示します。広告、営業、施策運用のどこまで含めるかを決め、計算式と集計期間を添えて使います。

34. LTV

LTVはLifetime Valueの略で、一人または一社の顧客から取引期間全体で得る価値を表します。売上か粗利か、将来分をどう扱うかを決めてからCACと比べます。

35. 参入障壁

参入障壁とは、競合が同じ市場で同等の価値を提供する際に越えなければならない条件です。技術、顧客関係、データ、許認可、流通、運用知識など、競合が再現する難しさで見ます。

36. 知的財産

知的財産とは、発明、デザイン、著作物、名称、営業上の情報など、事業で活用される知的な成果を指します。共創では、公開、権利化、契約管理、秘匿のどれで扱い、誰が使えるかを決めます。(出典:特許庁・経済産業省『オープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver2.2』2025年)

成長と継続判断に使う用語

成長フェーズの用語は、売上の大きさだけではなく、顧客獲得、継続利用、採算、提供能力に再現性があるかを判断するために使います。続ける条件と止める条件を同時に置くのが要点です。

数字が並び始めるこの段階では、「どの数字が動いたら誰が何を決めるのか」まで含めて初めて指標が機能します。

37. KGI

KGIはKey Goal Indicatorの略で、事業が最終的に達成したい状態を測る指標です。経営判断に結びつく結果指標を選び、期間、対象、計算方法を決めます。

38. KPI

KPIはKey Performance Indicatorの略で、KGIへ至る途中の進捗や事業状態を測る主要指標です。顧客行動との関係を仮定し、数字が動いたら何を判断するかまで決めておきます。

39. ノーススターメトリック

ノーススターメトリックとは、顧客が中核価値を受け取る度合いと、事業成長をつなぐ中心指標です。利用者のどの行動が価値の受領を示すのかを定義して置きます。

40. ステージゲート

ステージゲートとは、新規事業を段階に分け、各段階の終わりに継続、修正、保留、中止を判断する管理方法です。各段階で減らす不確実性と、次の投資判断に必要な証拠を決めます。(出典:Robert G. Cooper/Stage-Gate International公式解説)

41. ピボット

ピボットとは、検証で得た学習をもとに、顧客、課題、解決策、販売方法、収益などの仮説を大きく変えることです。維持する仮説と変える仮説を分けて記録します。

42. 撤退基準

撤退基準とは、事業や検証を中止、縮小、保留する条件を投資の前に定めたものです。売上だけでなく、顧客課題、技術制約、法的条件、採算、実行能力に対応させます。

43. 0→1

0→1とは、顧客課題と解決策を探索し、事業の最初の成立形をつくる段階を表す実務上の呼称です。「1」の条件を、初回受注や継続利用など案件ごとに決めて使います。

44. 1→10

1→10とは、初期の成立形を、複数の顧客や担当者でも再現できる形へ広げる段階を指します。手作業を販売手順、品質管理、採算管理、採用、システムへ置き換えていきます。

社外との共創に使う用語

共創の用語は、社外と組むこと自体を目的にせず、自社だけでは得にくい知識、技術、顧客接点、検証環境を持ち寄る関係を設計するために使います。目的、役割、意思決定、成果の扱いを先に揃えます。

名刺交換と数回の打ち合わせを「共創が始まった」と呼んでしまうと、半年後に「で、これは何の取り組みでしたか」という会話が待っています。言葉の定義が、関係の設計図になります。

45. オープンイノベーション

オープンイノベーションとは、組織内外の知識、技術、顧客接点を組み合わせ、新しい価値や事業を生む考え方です。自社だけでは解けない課題と、外部へ求める協力を明らかにして使います。(出典:Henry Chesbrough『Open Innovation』2003年)

46. クローズドイノベーション

クローズドイノベーションとは、研究、開発、事業化を、主に自社の資源と管理範囲で進める考え方です。機密性、速度、統合のしやすさを優先する案件で選ばれます。

47. 事業共創

事業共創とは、複数の組織や個人が、顧客課題、価値、役割、リスク、成果を協議しながら事業をつくる取り組みです。名称だけで共創とみなさず、各者が意思決定とリスクをどう分担するかまで確認します。

48. 異業種連携

異業種連携とは、異なる業界の企業や組織が、技術、販路、知識、顧客接点を持ち寄る取り組みです。顧客課題に対し、各社の資産がどう補完し合うかを示して使います。

49. 共創パートナー

共創パートナーとは、特定の課題に対し、技術、知識、顧客接点、検証環境などを持ち寄る相手を指します。役割、投入資源、判断速度、成果の扱いが合うかどうかで見極めます。

50. リバースピッチ

リバースピッチとは、事業会社や自治体などが、自らの課題、提供資産、外部へ求める協力を提示する形式です。参加者が提案の可能性を判断できるだけの情報を出します。

51. アクセラレータープログラム

アクセラレータープログラムとは、一定期間に募集、選考、伴走、検証などを行い、事業や連携を支援する枠組みです。採択後に使える予算、顧客接点、検証環境、意思決定者まで用意して初めて機能します。

52. CVC

CVCはCorporate Venture Capitalの略で、事業会社がスタートアップなどへ投資する活動、またはその組織を指します。投資の判断と事業連携の判断は分けて運用します。

53. ビジネスエコシステム

ビジネスエコシステムとは、一社では完結しない価値提供を、複数の企業や組織が役割を持って実現する関係を指します。各者の便益と、参加・退出の条件まで見ます。

54. オープン・クローズ戦略

オープン・クローズ戦略とは、技術、知識、規格、データについて、外部へ開く領域と自社で管理する領域を分ける考え方です。普及を促す部分と競争力を守る部分を切り分けます。

混同しやすい新規事業用語の違い

似た新規事業用語は、「何を確かめるか」「どこまで事業が進んだ状態か」「誰とどう進めるか」の違いで切り分けます。略称だけで会話せず、今回の案件で採用する定義を一文で残してください。

混同しやすい組み合わせ

切り分け

よくある誤用

会議で確認すること

プロトタイプ・PoC・MVP

プロトタイプは体験の表現、PoCは実現可能性の検証、MVPは顧客へ価値を届けて学ぶ最小限の提供物

画面を作っただけで「MVPが完成した」と扱う

今回確かめるのは、操作、技術、利用、支払いのどれか

CPF・PSF・PMF

CPFは顧客と課題、PSFは課題と解決方向、PMFは製品・サービスと市場の適合

一度の受注をPMF到達とみなす

対象顧客と、継続利用・購買のどの証拠で判定するか

ニーズ・顧客課題・インサイト

ニーズは満たしたい要求、顧客課題は達成を妨げるもの、インサイトは行動背景の解釈

要望をそのまま課題やインサイトと置く

観察した事実と、そこからの解釈を分けているか

オープンイノベーション・事業共創・異業種連携

考え方、事業づくりの取り組み、組む相手の業界関係という違い

社外企業と会っただけで共創と呼ぶ

課題、役割、判断権、成果の扱いを合意しているか

KGI・KPI・ノーススターメトリック

最終結果、途中の主要指標、顧客価値と成長をつなぐ中心指標

計測できる数字をすべてKPIにする

計算式、データ源、集計頻度、数値に応じた判断は何か

略語を使う前の確認項目

  1. 最初に出す箇所では、日本語の意味と英語表記を併記する。
  2. 「到達した状態」を指すのか、「検証する活動」を指すのかを分ける。
  3. 対象顧客、集計期間、計算式など、定義が変わる条件を添える。
  4. 会議後の議事録にも、案件内で採用した一文の定義を残す。

まとめ

新規事業の用語集は、知識を並べる辞書ではなく、構想から共創までの判断を揃えるための実務道具です。用語ごとに対象、除外範囲、使う場面を決めると、会議のすれ違いを減らせます。

新規事業のフェーズが変わったら、「この会議でPoCは何を指すか」「PMFを何の証拠で判定するか」と定義を置き直してください。資料には略称だけでなく一文の定義を添えます。指標には計算式と集計期間を、共創には各者の役割と成果の扱いを残しましょう。言葉を、判断を進める共通語にする運用です。


資料を請求する