「国内の協業候補を探す」「海外の投資先を追う」「既存企業まで含めて市場を調べる」。どれも企業検索ですが、必要な情報は同じではありません。収録件数だけで選ぶと、候補を出した後の根拠確認や社内共有で止まります。
スタートアップデータベースとは、企業、事業、資金調達、投資家などの情報から、候補企業を検索・比較するための情報サービスです。選定では、同じ探索テーマを各サービスへ持ち込み、検索結果だけでなく出典、出力、共有、契約終了後の扱いまで試します。
この記事では、5つのスタートアップデータベース候補を入口に、協業先探索と投資先探索の違い、8つの比較軸、デモ結果を稟議へ渡す方法まで解説します。
スタートアップデータベースとは|検索と協業判断を分ける
スタートアップデータベースの役割は、候補企業を見つけ、公開情報を同じ項目で見比べられる状態にすることです。企業が収録されていても、現在の協業意向までは分かりません。担当体制、役割分担、検証時期は、候補企業との対話で確かめます。
オープンイノベーションの支援サービスと比べる場合も、検索、公募、推薦、打診、面談設定、プロジェクト進行のどこまで契約に含むかを分けます。「企業を探せる」と「担当者との面談が成立する」は別の工程です。
工程 | 情報サービスへ求める役割 | 利用企業が判断すること |
|---|---|---|
条件設定 | 検索項目と分類を確認する | 課題、必須条件、除外条件 |
候補抽出 | 条件に合う企業を一覧化する | 候補に残す理由 |
情報確認 | 事業・投資等の根拠を示す | 確認日と未確認事項 |
接触 | 連絡・打診機能の有無を確認する | 開示範囲と接触方法 |
協業判断 | 対話の材料をそろえる | 役割、検証条件、継続可否 |
検索結果を「提携候補一覧」と呼ぶ前に、どこまで確認済みかを分けてください。データベースで確認した公開情報、担当者へ聞く事項、自社で審査する事項を別の列にします。
スタートアップデータベース5候補を同じ項目で比べる
ここでは、国内スタートアップ情報、企業・業界情報、海外の非公開企業・資本市場情報という異なる入口を持つ5サービスを候補にします。現行の公式サイトでは、initial.incのサービス名は「Speeda スタートアップ情報リサーチ」と表示されています。
下表の「要問い合わせ」は、公開情報だけでは、検討中の契約プランに適用できるか判断できない項目です。料金、対象範囲、出力、接触支援はデモと提案書で確認します。
サービス | 公式情報から確認できる主な入口 | 対象地域・検索項目 | 更新・出典 | 出力・共有 | 接触支援 | 料金・契約単位 |
|---|---|---|---|---|---|---|
国内スタートアップ、投資家、資金調達・提携情報の検索 | 契約プランへの適用は要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | |
国内スタートアップ情報の検索、出資・協業に向けた探索 | プラン別の対象と検索項目は要確認 | 情報源・更新条件は要確認 | ダウンロード等はプラン確認 | 商談設定支援は条件確認 | 無料・有料のプラン条件を確認 | |
企業情報、業界情報、財務データ、スタートアップ検索 | 対象地域・収録範囲は用途別に確認 | 項目別の出典・更新を確認 | 出力・共有条件は要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | |
世界の非公開企業情報、資金調達や成長等のシグナル | 検索項目と対象範囲はプラン確認 | データ取得・検証方法を公式説明で確認 | 製品・API等の条件を確認 | 連絡先・接触機能は要確認 | プランごとの料金・契約を確認 | |
非公開資本市場の企業、取引、投資家、ファンド情報 | 対象範囲は契約プランで確認 | 更新・出典の詳細は要問い合わせ | 出力・共有条件は要問い合わせ | ネットワーキング機能の範囲を確認 | 要問い合わせ |
Speeda スタートアップ情報リサーチとSTARTUP DBを比べるなら、同じ国内協業テーマを渡し、候補理由を書ける企業が見つかるかを試します。市場構造や既存企業まで同じ調査で見たい場合は、Speedaの企業・業界情報も比較対象です。
海外候補や投資文脈では、CrunchbaseとPitchBookに同じ対象国、業種、企業段階、期間を渡します。通貨と日付、各情報の出典、引用条件も同じ順序で確認してください。候補の分け方は、各社の回答とデモ結果を踏まえて更新します。
スタートアップデータベースは協業先探索と投資先探索で見方を変える
協業先探索では「一緒に何を検証できるか」を見ます。投資先探索では「事業と資本の状態をどう評価するか」が中心です。同じスタートアップデータベースを使っても、残す候補と次の調査は変わります。
利用目的 | データベースで見る入口 | データベース外で確認すること | 次の行動 |
|---|---|---|---|
協業先探索 | 事業、技術、顧客、提携の公開情報 | 協業意向、担当体制、役割、検証時期 | 協業仮説を添えて対話を打診する |
投資先探索 | 資金調達、投資家、取引、経営陣 | 財務、法務、市場、事業計画、投資条件 | 投資方針に沿って追加調査する |
市場調査 | 企業分類、参入企業、関連情報 | 定義、対象範囲、重複、未収録企業 | 市場マップと追加調査項目を作る |
協業先探索では、資金調達額の順に並べるのではなく、自社が提供できる実証場所、データ、販売網、専門知識と、相手の製品、技術、運用能力を組み合わせて候補を残します。
投資先探索では、スタートアップデータベースを候補抽出と初期情報の収集に使います。投資判断は、財務、法務、市場、事業計画など別の調査と審査を経て行います。データベースの一画面で完了する工程ではありません。
スタートアップデータベースを比べる8つの軸
比較するのは、対象範囲、検索、更新、出典、出力、共有、接触、契約の8軸です。自社の必須条件に合わせ、セキュリティや既存システムとの連携を加えてください。
比較軸 | デモで確認する質問 | 記録する証拠 |
|---|---|---|
対象範囲 | どの国・企業段階・法人種別を収録するか | 定義、対象外、確認日 |
検索 | 技術、顧客、地域、調達、投資家等をどう絞るか | 検索条件、結果、見落とし例 |
更新 | 誰が、何を根拠に、いつ更新するか | 項目別の更新方法 |
出典 | 各情報の根拠を追えるか | 出典URL、取得元、確認日 |
出力 | CSV・API等で何を取り出せるか | 対象項目、上限、再利用条件 |
共有 | 権限、メモ、候補リストをどう共有するか | 利用者区分、操作ログ |
接触 | 連絡先表示、打診、面談設定を含むか | 対応範囲、追加条件 |
契約 | 料金単位、期間、保存・引用条件は何か | 見積書、規約、契約終了時の扱い |
探索テーマを「AI企業」のような技術名だけで終わらせないことも大切です。「誰のどの課題を、どの資源を使って確かめたいか」まで書きます。各サービスで同じテーマ、必須条件、除外条件、検索語を使い、候補理由、出典、確認日、未確認事項が入った一覧を作ります。
スタートアップデータベースのデモ結果を稟議用の評価票にする
デモの評価票には、機能の有無だけでなく、要件区分、根拠、責任者、社内審査の状況を残します。必須条件を満たさない候補は、加点項目の総合点だけで採用しません。
評価項目 | 必須/加点 | 重み・配点 | 根拠 | 評価責任者・承認状況 |
|---|---|---|---|---|
自社テーマの対象範囲 | 必須 | 自社で設定 | 検索条件、結果、担当者回答 | 利用部門責任者 |
情報の出典と更新 | 必須 | 自社で設定 | 画面、資料、回答日 | 調査責任者 |
出力・保存・契約終了後の扱い | 必須 | 自社で設定 | 規約、見積書、回答 | 調達・法務 |
SSO、権限、操作ログ | 必須または加点 | 自社規程で設定 | セキュリティ資料、回答 | 情報セキュリティ |
候補リストの共有と接触支援 | 加点 | 自社で設定 | デモ成果物、提供範囲 | 利用部門責任者 |
各社へ同じ探索テーマを渡し、まだ社内で知られていない候補の発見、根拠確認、一覧化、共有まで試します。既知企業だけを検索すると、探索の差を判断しにくいからです。
評価票には、未確認事項と回答期限も置きます。利用部門、調達、法務、情報セキュリティ、最終承認者は、デモ前に必須条件を合意してください。デモ後に条件を追加すると、候補を比較し直すことになります。
まとめ|スタートアップデータベースは候補抽出後の運用まで選ぶ
スタートアップデータベースは、同じ探索テーマを8軸で試し、候補理由と根拠を残せるサービスを選びます。対象範囲、検索、更新、出典、出力、共有、接触、契約を同じ評価票にまとめれば、デモの印象ではなく、稟議に必要な証拠で比べられます。
導入後の担当も選定時に決めてください。テーマ責任者、検索担当、候補評価者、接触担当、契約管理者がいなければ、検索結果は更新されず、候補との対話へ進みません。
協業先探索では、候補抽出後に相手と自社が何を持ち寄るかを書き、担当者との対話で未確認事項を確かめます。候補の発見は終点ではありません。検証へ進める理由を持った候補だけを残し、誰がいつ接触するかまで決めるところが選定の範囲です。
